下町情緒あふれる住宅地が形成されている「千石」東側エリアが狙い目

 千石駅予定地の西側は戸建て住宅や中高層のマンションなどが建ち並ぶ住宅街で、「木場公園」の豊かな緑があふれている。木場公園は約24万m2もの広さを誇り、都市緑化植物園、東京都現代美術館、テニスコート、バーベキュー広場などがある。ウオーキングやジョギングなどで汗を流す周辺住民も多い。

 このような環境もあり、新駅の西側には比較的良好な住宅地が形成されており、マンション価格はやや高めで、価格も上昇している。そのため、マンション情報を提供する「マンションリサーチ」の中古マンションレポート(2025年3月12日発表)では、狙い目として新駅の東側を挙げている。

〈建設予定の新駅『千石駅』の西側は2024年においても、価格の高騰が見られるのに対し、東側はむしろ横ばいもしくは下落しています。一方で新駅ができることで周辺エリアニーズが高まるので、むしろ東側の駅近は、将来性を見ると割安になると考えられます〉

 千石駅の東側は保育園、小学校、高校などのほか、中低層の築年数の長いマンションや戸建て住宅が密集しており、下町情緒あふれる住宅地が形成されている。

 そんなこともあって中古マンション価格が下がり、割安感があるわけだが、逆にいえば新駅ができて環境整備が進めば新駅効果で、相場が大幅に上がることも期待できそうだ。

 ただ、そうは言っても新線が開業するのは2030年代の半ばであり、まだ10年もある。それまで「交通空白エリア」として不便な思いをしなければならないのかと言えば、そうとも限らない。

 千石エリアの中央を南北に四ツ目通りが通っていて、ここに東京駅まで直通の都バスが走っている。通勤時間帯の本数が多く、20~30分程度で東京駅に到着するため、東京駅周辺に職場がある人ならさほど負担にならないだろう。

 東京駅からは各方面にJRや地下鉄も出ていて利便性は高い。また都バスで数分の東陽町駅からは東京メトロ東西線に、錦糸町駅からはJR総武線・東京メトロ半蔵門線に乗り換えることもできる。

 現状ではナショナルブランドの商業施設はないものの、地元のスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどが揃っていて、日常生活の買い物などに困ることもないだろう。四ツ目通りを南に進めばすぐに飲食施設も充実した「ホテルイースト21東京」があり、敷地内にはスーパーやドラッグストアなどもある。、さらに進むと江東区役所と売り場面積の広いスーパーが3軒並んでいるエリアがあるので、生活スタイルに合わせて使い分けることができそうだ。

 千石エリアにマイホームを持ち、そんな現状を楽しみながら、新駅の誕生、各種商業施設の充実、そして購入したマンションの資産価値向上を待つのもいいだろう。

【山下和之(やました・かずゆき)】
住宅ジャーナリスト。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材、原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入絶対成功させる完全ガイド2022─2023』(講談社ムック)などの著書がある。