トランプ関税に公然と反旗を翻した、GDP世界5位の米カリフォルニア州
民主党のホープ、ニューサム知事は「恫喝関税」外交を止められるか
2025.4.19(土)
高濱 賛
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環境問題や不法移民送還でもトランプと対立
一介の州知事とはいえ、ニューサム氏は南部や中西部の小ぶりな州の知事とは違う。
カリフォルニア州は、米国経済の成長を引っ張る全米で最も強力な「原動力」(Driving Engine)を有する。
カリフォルニア州は、国内総生産(GDP)は、3兆8900億ドル(2023年)、米国全体のGDPの約14%を占め、(米国、中国、ドイツ、日本に次いで)世界5位の経済圏を成している。
AI関連の企業は、世界トップ50社のうち32社がカリフォルニア州を拠点にしている。
航空宇宙産業、コンピューター、エレクトロニクス、農業分野で全米最大規模を誇っており、それらの産業の雇用者数は110万人。
貿易相手国との輸出入額は6750億ドルと全米50州の中で最大だ。
中でも輸入はメキシコ、カナダ、中国の3か国からが2030億ドルと、州全体の輸入額4910億ドルの40%以上を占める。
トランプ関税により、この3か国との貿易額のうち数十億ドル分が消えてなくなる計算だという。
カリフォルニア州は年間830億ドルを連邦政府に「上納」している。
そのカリフォルニア同州が「州権」をかざして連邦政府に対する「対等意識」を前面に押し出してくるとなると、トランプ政権も上から目線で軽くあしらうわけにはいかない。
(Governor Newsom directs state to pursue strategic relationships with international trading partners; urges exemptions of California-made products from tariffs | Governor of California)
かつては、ロナルド・レーガン氏が知事として君臨し、共和党が支配する時期もあったカリフォルニア州だが、2011年以降は民主党知事が続き、「ブルーステート」の雄になっている。
2024年の大統領選挙ではトランプ氏は同州で大敗している。
ニューサム氏はこれまでにも、環境政策や不法移民送還やロサンゼルスの山火事の対応(連邦政府からの財政支援問題)をめぐりトランプ氏と激しく対立してきた。
それだけにニューサム氏としては、トランプ氏の強引な関税政策には居ても立っても居られなくなってきたのだ。
「ニューサム氏は州民の権益を守るための政治決断に踏み切った。返す刀でトランプ氏の独裁を止める決意を表明した。2028年の大統領選への事実上の出馬決意声明のようなものだ」(民主党カリフォルニア州支部幹部)