トランプ関税に公然と反旗を翻した、GDP世界5位の米カリフォルニア州
民主党のホープ、ニューサム知事は「恫喝関税」外交を止められるか
2025.4.19(土)
高濱 賛
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トランプ関税に「国際緊急経済権限法」は適用されるか
問題は、ニューサム氏が、関税政策が不法行為だとしてその停止を連邦裁に訴える措置、そして貿易相手国との州単独交渉、独自のパートナー構築は実現するか、だ。
保守派が過半数を握る最高裁は、不法移民強制送還については条件付きでトランプ氏に軍配を上げている。
中南米系ギャングを強制送還に戦時下に適用される「敵性外国人法」(Alien Enemies Act=1798年制定)に基づく措置で、これを容認している(9人の判事のうち賛成5人、反対4人)。
いずれ最終判断を託される最高裁は、トランプ政権のもう一つの目玉である関税措置についてどう判断するか、だ。
カナダ、メキシコ、中国からの輸入品に追加関税を課す大統領令に、大統領に広範な権限を与える国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Power Act=IEEPA、1977年制定)が適用されるか、どうか。
貿易・法律の専門家からは適用に異論が出ている。ニューサム氏にも勝訴のチャンスは十分ありそうだ。
(トランプ氏の関税措置の違法性について裁判所に訴えたケースは、4月17日現在、ニューサム氏のほか、フロリダ州の団体など2件ある)
(California first US state lawsuit donald Trump tariffs imports | World News - Business Standard)
非公式な貿易パートナーシップ構築はムリ?
他方、カナダ、メキシコ、中国などとの(そして日本との)非公式な戦略的貿易パートナーシップの構築の方はどうか。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のダニエル・ミチェル名誉教授はこう指摘する。
「ニューサム氏の選択は限られている。カリフォルニア産の農産物ならまだしも、工業製品となると使用されている部品の中に他州製造のものがあるとどうするのか。カリフォルニア産の定義付けは極めて難しい」
また主要シンクタンク、「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」のスタン・ベンガー主任研究員はこうコメントしている。
「カリフォルニア州が独自に貿易相手国と通商協定を結ぶことはできないし、トランプ政権の決めた追加関税を無視して特定の製品の関税対象から除外もできない」
「カリフォルニア州政府としてできるのは関税を課された製品の関税額を何らかの形で相殺することだが、そのカネをどこからか調達せねばならない。その分増税することになる」
(Can Newsom insulate California from Trump’s trade war? - Los Angeles Times)