4.停戦交渉にはロシア最後の勝ち目を潰せ
ロシア軍はこれまで、ウクライナに侵攻して軍の圧倒的な優位性や特性や生かして戦ってきた。
例を挙げると、国境線全域からの奇襲侵攻作戦、各種弾道ミサイル攻撃、大機甲戦力による機動打撃攻撃、近代的航空戦力によるウクライナ主要部への航空攻撃、海上作戦、戦場と国土を守る防空、空陸からの電子戦、大規模空挺作戦、サイバー攻撃、非正規戦などだ。
このため、ロシアはウクライナに侵攻すれば、1か月ほどで占拠できるのではないかと思っていた。
それが予想に反して、ロシアの圧倒的優位な軍事力とその作戦は、ほとんど潰されるか、抑え込まれている。
今、ロシア軍に残された勝ち目は、無人機による高高度飛行からの垂直落下攻撃等と、地上発射弾道ミサイル攻撃、歩兵による絶え間ない地上浸透攻撃および戦場に限定された航空攻撃である。
また、ロシアの国力としては、まだ破壊されていない石油関連施設と武器製造能力が残されている。
ロシアに残された勝ち目を潰すために、ウクライナには何が必要であろうか。
ロシアの無人機による高高度飛行からの垂直落下攻撃と低空飛行攻撃に対しては、欧州や日本の戦場防空兵器(短距離防空兵器)があれば、垂直落下攻撃でも撃墜が可能だ。
地上発射弾道ミサイルに対しては、パトリオット「パック3」があれば撃墜できる。
だが、ロシアから大量にミサイル攻撃されれば、高価なパトリオットが枯渇する。
米国からの供与がなくなれば、欧州や日本が米国に代わって、製造して提供すべきだろう。
ロシア空軍によるウクライナ防御部隊への誘導砲弾攻撃は、その回数を一定程度維持している。
ウクライナが「F-16」や「ミラージュ」戦闘機を導入しても、その攻撃を阻止できてはいない。ウクライナ軍にとって最大の苦痛となっている。
ロシアのエネルギー施設への攻撃については、ロシアの国力を低下させるためには、絶対に必要なことである。
停止の取り決め終了後には、徹底して攻撃し、ロシアの国力を低下させるべきだろう。
ロシアがエネルギー施設停止を望んだのは、ロシアにとって、現在最大の苦悩だからである。