3.戦車の機動打撃消滅、歩兵の浸透攻撃継続
かつて、ロシア地上軍といえば大戦車軍団で編制され、戦車主体の機動打撃戦が十八番であった。
それも大量の戦車を投入して、早期に目標を占拠するというのがドクトリンであった。
ところが現在、その戦車の損失数が10000両を超え、大戦車軍団の面影は全くない。
ロシアの戦車は、米欧の対戦車ミサイル1発で仕留められ、その上、内部の弾薬が誘爆して、戦車の砲塔が吹っ飛んでしまう有様だ。
そのため、対戦車ミサイルやドローンの攻撃を防ぐために、戦車の周りを鉄網などで覆い、亀の形のような形になり、まるで亀かゾウリムシが這うように動く。
このため、ロシアの戦車は今や「亀の子戦車」と呼ばれるようになった。
ロシア地上軍では、歩兵の攻撃に戦車が投入されることが少なくなった。
装甲車の損失もこれまでに20000両を超えた。それでも、こちらは1日50両の損失を出しつつ、ほぼ同数が戦場に送られている。
戦車はなくなり、装甲車が兵士を乗せてウクライナ軍の防御線の近くまで運び、そこで降車させ、後方地域に戻るという役割になってしまった。
戦車と装甲車が機動打撃部隊となり、協同して戦うという最強のロシア大戦車軍団は、完全に消滅してしまったのである。
ロシア地上軍兵は、それでも戦い続けている。いや、戦わされているのである。
プーチン大統領がやめると言わない限り、現在の「肉挽き攻撃」による浸透攻撃は続いていくのである。
ウクライナにとっては、この無惨な攻撃が続けられることによって、兵士や兵器・弾薬の投入に大きな負担を強いられている。