「私自身は見解が違う」と知事は違法性認めず
人事課が作成していた想定問答を大きく踏み越え、幹部職員たちは驚いた。怒りに任せて口にしたこの言葉から、今に至る兵庫県政の混乱は始まった。第三者委報告書は、この発言は元県民局長に精神的苦痛を与え、職員を委縮させるパワハラだと指摘。〈極めて不適切で、直後に撤回をされるべきであった〉と書いている。
あの記者会見から1年。2025年度予算が成立した3月26日、斎藤は1週間前に公表された第三者委の調査報告書に対する見解を会見で語った。その回答は予想されていたとはいえ、報道陣を悪い意味で驚かせた。
「ご指摘は真摯に受け止める」と壊れたテープレコーダーのように連呼しながら、第三者委が違法と断じた外部公益通報の取り扱いや通報者探索については、「いろんな意見がある」「あの時点ではやむを得なかった」「私自身は見解が違う」と一切認めない。自身のパワハラはいちおう認めたが、処分は特になし。幹部職員らが求めたという元県民局長の処分撤回もしなかった。
この会見前、ひょうご県民連合の控室を訪ねると、竹内元県議の机の上に調査報告書が並べられていた。同会派で竹内と交流が深かった迎山志保は言った。
「この報告書から逃げることは、県民の疑念や県職員の不安の払拭から逃げること。それらを払拭せずに県政を前に進めるなんて、できるわけがない」
