TSMCは発表資料で、「このプロジェクトは米国史上で最大となる単一の外国直接投資だ」と説明した。今回の追加投資と、これまでの投資を合わせた1650億ドルが「米国史上最大」という意味だ。今後4年間で建設関連で4万人、半導体製造及びR&Dのハイテク関連で数万人の雇用を創出し、今後10年間、米国全体で 2000億ドル(約30兆円)以上の間接的な経済効果を生み出すとしている。
トランプ氏「台湾はアメリカの半導体産業を盗んでいる」
米経済ニュース局のCNBCによれば、トランプ氏は大統領選挙期間中にCHIPS・科学法を公然と批判し、「代わりに関税が半導体製造を国内回帰させるためのより効果的な戦略だ」と主張していた。3月4日の施政方針演説でも「CHIPS・科学法を廃止し、その財源を債務返済に充てるべきだ」と主張した(英ロイター通信)。トランプ氏はこれまで「台湾がアメリカの半導体産業を盗んでいる」と述べ、半導体への追加関税を示唆し、米国内での製造を要求してきた。
一方、TSMCはトランプ氏の言動に警戒していると報じられていた。魏氏は先の決算説明会で、TSMCと米政府が「長年にわたる良好な関係」を築いていることや、同社が連邦・州・市レベルで受けている支援と協力を強調していた。
今回の魏氏との会見で、トランプ氏は「TSMCが台湾で半導体を製造して、それを米国に運べば、25%、30%、50%か、将来的にいくらになるか分からないが関税が課される。この比率は上昇し続ける。だが、米国で製造すれば関税はかからない。彼(魏氏)はゲームで大きくリードしている」と述べた。
アップルのクック氏やソフトバンクの孫氏も投資表明
2025年1月20日のトランプ大統領就任以降、ホワイトハウスを訪れ、米国内への投資を表明する動きが相次いでいる。
米アップルのティム・クックCEOは2月20日にトランプ氏と会談し、その4日後の2月24日、今後4年間で米国に5000億ドル(約75兆円)以上を投資すると発表した。2万人の新規雇用を創出し、米国における製造拠点を拡大する計画だ。iPhoneなどのアップル製端末に提供する、生成AIサービスの開発に必要なサーバーを米南部テキサス州ヒューストンの新工場で製造する。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長、米オープンAIのサム・アルトマンCEO、米オラクルのラリー・エリソン会長の3人は1月21日、トランプ氏との共同会見を開き、米国におけるAIインフラの構築に最大5000億ドルを投資すると表明した。