「出世したい」20代男性が激減のなぜ?

 まず、2017年と2024年の20代正社員の出世意向(「会社で出世したい」という質問に「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した割合)と2018年と2024年の管理職意向(「現在の会社で管理職になりたいと感じますか」という質問に「そう思う」「ややそう思う」と回答した割合)を性別で見た(図表1)。

管理職意向について出世意向と同じ2017年調査データではなく2018年調査データを参照するのは、関連質問が2018年調査から聴取しているという理由による。

 男女で出世意向・管理職意向が大きく異なることがわかる。

 例えば出世意向について、2017年の20~24歳男性正社員では約4割が出世したいと考えており、同女性は約3割にすぎない。

 また、20代男性正社員の出世意向・管理職意向を2017・18年と2024年で比較すると、7.8~12.2ポイントも劇的に低下している。これは、他の年代と比べて低下の幅が極めて大きい。

 女性では大きな変化はないが、2024年の20~24歳の管理職意向は2018年と比べて7ポイント上昇している。

 女性正社員の出世意向・管理職意向の相対的低さは、様々な社会的障壁によって生じていると考えられることから、直ちに是正すべき大きな問題である*3。ただ、この数年の顕著な変化という点では、20代男性正社員の出世意向・管理職意向の低下にも注目すべきであろう。

■図表1:正社員の出世意向・管理職意向[性年齢別]

出所:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」より筆者作成
出所:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」より筆者作成
出所:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」より筆者作成
出所:パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」より筆者作成

 それでは、20代男性正社員のうち「誰」が管理職になりたくないのだろうか。次ページから見ていこう。