2024年3月3日、昨年の東京マラソンで優勝したベンソン・キプルト 写真/REX/アフロ

(スポーツライター:酒井 政人)

トラック王者・チェプテゲイが東京を駆け抜ける

 3月2日に行われる東京マラソン2025。男子は前回、国内最高記録となる2時間02分16秒を打ち立てたベンソン・キプルト(ケニア)が連覇を目指す。プレスカンファレンスでは、「東京はフラットなので、みんな自己ベストが出せるようなコースです。前半は60分40秒。最初から速く入りたい」と大会記録の更新に意欲を見せていた。

 昨夏のパリ五輪でも銅メダルを獲得しているゼッケン「1」以上に注目を浴びているランナーがいる。5000mと10000mで世界記録を保持するゼッケン「2」のジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ)だ。

 東京五輪は5000mでパリ五輪は10000mで金メダルを獲得。世界陸上は10000mで3連覇中というトラックの絶対王者だ。マラソンは一昨年12月のバレンシアを“お試し”で出場するも、2時間08分59秒という微妙な結果に終わった。「落胆したんですけど、陽のぼる日本で私ものし上がりたい」と東京でマラソンの本格参戦を決めた。

「東京マラソンは数年前からテレビで観ていて、昨年のキプルト選手の走りにインスピレーションを得ました。アスリートが潜在能力を発揮できるコース。ワクワクした思いです。まだマラソンは学習中ですし、2回目で自分に強要するのはかわいそう。2時間4分くらいでもハッピーです」

 タイムに関しては控えめな目標を口にしたが、チェプテゲイはトラックからマラソンへの“転向”を真剣に考えているという。

「今が次のステップに進む転換期として良いタイミングだと考えています。世界陸上はトラックに戻らないつもりでいます。ただ今後どうするかは、日曜日のレースが終わった後にマネジャーと相談したい。いずれにしても東京世界陸上には来たいと思っています」

 パリ五輪5位で2時間02分38秒の自己ベストを持つデレサ・ゲレタ(エチオピア)も「気象条件が良ければ2時間2分台で走る準備はしてきました」と語った。海外招待選手は2時間2分台3人、3分台3人、4分台5人と“サブ5”が11人。プラスしてトラック王者がいる。

 当日のペースメイクはトップグループが2時間1分台、2番目のグループが3分台、3番目のグループが5分台くらいになることが予想されている。そのなかで日本勢はどんな戦いを見せるのか。