経団連、経済同友会も哲学に注目
その中で、哲学的思考法をビジネスに応用する「哲学シンキング」を開発し、企業向けのワークショップや講演を通じてその普及に努めたり、哲学情報サイト「BIZPHILO」や哲学スクール「アカデメイア・フィロソフィカ」の運営を行ったりするなど、哲学の社会実装を推進しています。
また、アカデミアの側でも、東京大学東洋文化研究所所長の中島隆博が、経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所の研究主幹として、経済界と学術界の橋渡し役となり、資本主義や民主主義の未来に関する研究プロジェクトを主導するなどの動きが始まっています。
現在、同研究所では、経団連が掲げる「サステイナブルな資本主義に向けた好循環の実現」を目的として、哲学、経済学、文化人類学などの各分野の専門家とともに、資本主義の未来や目指すべき社会について検討を進めています。
最後に、私自身も、経済同友会が立ち上げることになったリベラルアーツ・プログラムの委員長として、本年度のパイロットプログラムに続いて、来年度から会員企業向けプログラムを本格稼働することになりました。
ここでは、哲学や思想をベースに幅広い社会・経済・経営問題について、それらに立ち向かうビジネスパーソン個人として「どう生きるか?」を議論していくことになります。
世界がこれまでになく複雑化・多層化し、歴史が進歩史観的に直線的に進んでいくものではないことが明白になり、地球自体の持続可能性にも疑問符がつき始めた不透明な時代の中で、自らの基軸をしっかりと確立することが求められている……これが私たちの立っている現在地なのです。