日枝久・フジテレビ取締役相談役(写真:ロイター/アフロ)
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(放送コラムニスト:高堀冬彦)

 元タレントの中居正広氏(52)と女性のトラブルに端を発し、フジテレビで混乱が起きてから約2カ月が過ぎた。

 スポンサーは80社近くが去った。視聴率もジリジリと落ちている。民放は大きな不祥事を起こすとイメージが悪くなり視聴率が落ちる。最近では「『セクシー田中さん』問題」(2024年)を起こした日本テレビがそうだった。

 フジの場合、港浩一前社長(72)が放送記者クラブのみを対象とする記者会見を行い、猛批判を浴びたのは1月17日で同第3週。この週の全日帯(午前6時~深夜零時)の個人視聴率は2.3%だった。

 在京キー局の中で4位。テレビ東京を除くと最下位である。同4週の全日帯は2.2%。4位であることに変わりはないが、数字が下がった。わずかに見えるものの、1週間単位の数字なので実際には大きい。

 フジは今後、どうなるのか。

何度も「戦い」を越えてきた日枝氏のテレビマン人生

 親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株を8%以上持つ米国の投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は2月3日、FMHの取締役相談役・日枝久氏(87)に辞任を求める書簡を送った。日枝氏はこれを呑むのかというと「突っぱねる」(フジ関係者)という。

「それどころかダルトンと戦うつもりです」(フジ関係者)

 日枝氏は戦うことが嫌いではない。1992年には当時のフジ会長でオーナー一族だった鹿内宏明氏(79)をクーデターによって追い出した。

1992年7月、新宿・河田町のフジテレビ本社で、フジサンケイグループ会議議長、フジテレビとニッポン放送の会長職を辞任する決意を述べ退席する鹿内宏明氏(写真:共同通信社)
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 2005年にはフジの経営権を奪おうとしたライブドアの堀江貴は氏(52)と衝突し、経営権を守った。日枝氏のサラリーマン人生は闘争の歴史でもある。

2005年4月、フジテレビの経営権を握ろうとしたライブドアの堀江貴文氏との「和解」会見を行った当時、フジテレビの会長兼CEOだった日枝久氏(写真:ロイター/アフロ)
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