歴代政権は強い理解を示してきたが…

 アフリカのサハラ以南はこれまで最も力を入れてきた地域です。貧困対策として食糧支援を続け、USAIDは世界最大の食糧支援組織と言われました。エイズやマラリアなどの感染症対策も重要な任務で、医療機関の建設などにも注力。感染症の拡大を食い止める活動を続けてきました。

USAIDはアフリカでも食糧援助などに力を注いできた=写真はケニア(写真:AP/アフロ)

 USAIDの活動に対し、これまでの米国の歴代政権は民主党・共和党の別なく強い理解を示してきました。

 例えば、共和党のブッシュ(子)政権は「大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)」を打ち出して巨額の予算を投入、USAIDは約100カ国で医療活動を展開しました。民主党のオバマ政権は対外的支援を外交・安全保障の柱に据え、USAIDを強化して貧困撲滅政策に力を入れました。

 米国民の間では、こうした対外支援は行き過ぎだとする見方も根強くあります。約6割の米国民が「米政府の対外援助は過剰であり、教育や社会保障、インフラ整備など国内の事業にもっと予算を使うべきだ」と考えているとの世論調査結果もあります。

 トランプ大統領は1期目(2017〜2021年)から対外支援に懐疑的な姿勢を取ってきました。USAIDの活動はトランプ氏の「アメリカ・ファースト」政策にそぐわないと判断したとみられます。

 その後もトランプ氏は「職場での多様性を推進するためセルビアに150万ドル支援した」「ベトナムの電気自動車普及に250万ドル贈った」などと訴え、対外支援の無駄遣いを強調しようとしています。

 USAIDは今後どうなるのでしょう。