トランプ政権の安全保障の主要課題
米国では、トランプ政権の誕生に合わせるように、1月3日から第119回議会が始まっている。
議会調査局は、その審議に供するよう「議会と国家安全保障:第119回議会のための選択した手段と問題」をテーマとする報告書を議会に提出した。
その中で、「米国では、世界における米国の役割をめぐる議論の中で、『米国の国家安全保障の優先事項と戦略』に関する議論が行われている」と述べ、その議論の主要テーマを次のように例示している。
① 米国はグローバルなリーダーシップと関与を追求すべきか、米国の役割はもっと抑制されるべきなのだろうか?
② 米国は、米国の国家安全保障戦略の主要な特徴として同盟を推進すべきか、それともより一国主義的なアプローチを採用すべきか。
同盟国とパートナーは、共同の努力に対してどのような相対的な貢献をすべきか?
③ 国家安全保障政策は、ヨーロッパ(ロシア)、中東(イラン)、東アジア(中国、北朝鮮)を重点地域として等しく優先すべきか。
「アジアファースト」や「中国ファースト」と呼ばれるアプローチを採用すべきか。
それともヨーロッパや中東の目標に焦点を当てるべきか?
④ 政策当局者は、アフリカ、南アジア、中南米(グローバルサウス)の危機と傾向にどのように対処すべきか?(以上、括弧は筆者)
このように、世界的関与かより抑制された関与か、同盟戦略積極推進か一国主義的アプローチか、ヨーロッパ・中東・東アジアの均等重視かいずれかの地域の優先重視かなどのオプションが呈示されている。
今後、これらを題材に議会審議が進行し、それを考慮しつつトランプ政権の「国家安全保障の優先事項と戦略」が確定しよう。
そして、大統領による「国家安全保障戦略(NSS)」、国防長官による「国家防衛戦略(NDS)」そして統合参謀本部議長による「国家軍事戦略(NMS)」が順に策定・公表されることになろう。