トランプの大量強制送還の最中に、なぜか相次ぐ中国人の密入国
習近平の人権抑圧から逃れた政治難民との区別は、どうするトランプ
2025.2.2(日)
高濱 賛
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香港やウイグルからの亡命者はどうするのか
その一方で、別の心配もある。
インターナショナル・アムニスティのアジア部門のキャロライン・ナッシュ部長はこう述べている。
「中国から難民としてきた不法移民のなかには、中国に返されたら迫害や拷問を受ける可能性が高いウイグル、香港出身者もいる」
「米国境警備担当者や出入国管理担当者たちは、これらの不法移民のバックグラウンドに全く関心を持たない公算大だ」
(Vans packed with Chinese migrants stopped in Florida, 2 arrested)
人権抑圧反対の強硬派ルビオはどう出る
トランプ政権には、マルコ・ルビオ国務長官はじめ反中強硬派が多い。トランプ氏自身、レトリックでは激しい中国批判を繰り返してきた。
中国の経済、軍事的脅威を唱える一方で、香港やウイグル自治区での人権弾圧についても非難してきた。
特に、ルビオ氏などは人権抑圧政策の総本山は中国共産党だ、と主張してきた。
不法難民強制送還を大胆かつ遮二無二進めるトランプ政権だが、もう一つの重要懸案であったはずの中国の人権抑圧はどうなるのか。
武力を使ってデモ鎮圧、言論の自由抹殺を続ける香港政府の迫害を逃れて米本土に政治亡命し、いまだに永住権も市民権も取れていない「Undocumented immigrant」にトランプ政権はどう対応するのか。
不法移民強制送還がどこまで成功するのか、米経済への悪影響はないのか。
連邦政府の経費停止は司法がストップして諦めたようだが、乱発する大統領令がどこまで政策を変えられるか。
そろそろこれまで掲げてきたスローガンが内部分裂する兆候も見え隠れしだした。
中国人不法移民の中国本土への送還は、その先駆けのような気がしてきた。
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