トランプ氏が望む「1バレル=45ドル」になるの?
中国の1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が4カ月ぶりに好不調の境目である50を下回ったことが「売り」を誘った。
中国メディアは「中国国内のガソリンスタンドが大量に閉鎖される」と報じており、中国の原油需要の低迷が今年も市場の下押し圧力になるだろう。
「米欧地域の気温が上昇し、暖房需要が減る」との観測もマイナス要因となった。
軟調気味の原油市場が注目しているのはトランプ大統領の言動だ。

トランプ氏は1月23日、スイスで開催されていた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)にオンラインで出席し、「サウジアラビアと石油輸出機構(OPEC)に原油価格の引き下げを求めるつもりだ」と述べた。
トランプ氏は24日もOPECに対し値下げを要求した。
トランプ氏の「口先介入」により原油価格は下落したが、トランプ氏が望む原油価格(1バレル=45ドル)には遠く及ばない。
トランプ氏の要求にもかかわらず、OPECは既定路線を変更しないとみなされている。
ロイターは1月28日「サウジアラビアのアブドラアジズ・エネルギー相がリヤドでアラブ首長国連邦(UAE)、イラク、リビアのエネルギー相と非公式に会談した」と報じた。
会談の内容は明らかにされていないが、OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)は2月3日に開く合同閣僚監視委員会で「4月から増産を開始する」との方針を変更しないとの見方が一般的だ。
OPECプラスは昨年後半から増産する意向を示していたが、原油市場のセンチメント悪化を回避するため、3度にわたり増産開始を延期してきた。
トランプ氏の要求に応じない可能性が高いOPECプラスだが、「市場の動向次第で4月の増産を再び延期する」という選択肢は奪われてしまった。
OPECプラスの4月からの増加開始で1バレル=45ドルまで下落することはないだろうが、原油価格の下落傾向が強まるのは間違いないだろう。
トランプ氏は規制緩和による米国内の原油生産の増加も狙っているが、石油業界の反応は芳しくない。