ダウンロードすべきではない
さらに現時点でわかっているだけでも、DeepSeekには他にもいくつかの問題点がある。まず、データの安全性だ。
現在、多くのユーザーはDeepSeekアプリをスマホなどにダウンロードしている。だがそこに入力したデータ(質問)は直接、中国に送信されている。入力したデータはDeepSeekがAIに蓄積されるわけだが、中国では企業が保有しているデータは中国政府が収集できるという悪名高い「国家情報法」がある。要するに、DeepDeekに入力した情報は中国政府に流れる可能性が高いのだ。
もちろん、アプリをダウンロードした際に登録するユーザー情報も収集され、中国に送られる。これは中国製のデジタルデバイスの多くに共通するが、ユーザー側が意図しないうちに個人データが収集されてしまうので注意が必要だ。DeepSeekの利用規約を読むと、ユーザーがアプリを利用する「デバイス間の利用状況などを監視して分析する」と書かれているので、かなり危ない。
またDeepSeekから吐き出される回答が「検閲」または「不正操作」されていることもわかっている。
たとえば天安門事件について聞いても正しく答えてくれないし、習近平国家主席に似ていると揶揄されている「くまのプーさん」についての回答は拒否するという具合だ。これは、中国政府の“検閲”があるためAIがイデオロギーに関わる回答を自主規制したり回避したりしているからだ。
こうした点を踏まえれば、現時点で一般人や日本の企業はDeepSeekアプリをダウンロードすべきではないだろう。
もう一つは、違法性だ。DeepSeekが回答など出力を盗んだと言われている欧米AIの一つとされるChatGPTには、ユーザーが「当社のサービスを、他人の権利を侵害、不正流用、または違反する方法で使用すること」を禁じるという利用規約がある。