6年連続世界一のフ―ディー、浜田岳文
静岡県焼津市に「サスエ前田魚店」という魚屋がある。店主の前田尚毅さんは魚の目利きだけでなく、魚を一番美味しい状態に「手当」する名人と言われている。
そのため、前田さんの手当した魚を求めて、日本中からラブコールが来ているが、彼は鮮度を保証できる「成生」「温石」「日本料理FUJI」「シンプルズ」など近場の飲食店を中心にした一部の店にしか卸していない。
そのため、広島でフランス料理店を営んでいた西健一さんは、前田さんの魚を使いたいがために焼津に移転、「馳走西健一」を開いたほどなのだ。
こうしたデスティネーションレストラン、ローカルガストロノミー、そしてミシュランやベストレストランに選ばれるファインダイニングがすべて揃っているのが、日本のガストロノミーツーリズムの魅力なのである。
しかも、そうした魅力を発信するフーディーのなかでも世界の頂点に君臨するのも、実は日本人なのだ。
世界のフーディーのトップを選ぶランキング「OAD Top Restaurants」レビュアーランキングで2018年から6年連続世界第1位となったフーディーが、浜田岳文さんである。
彼は先日、『美食の流儀』という本を出版して評判になった。
浜田さんは1974年生まれ、高校までは日本だったが、米国のイェール大学に進学、在学中、学生寮のまずい食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始したという。
外資系の金融機関に勤めたのち、現在はエンターテインメントや食の領域のアドバイザーを務めつつ、これまで世界約125カ国を踏破し、各地で食べ歩きを続けている。
しかも、彼は先述の「The Japan Times Destination Restaurants」の創設に携わっており、審査員も務めている。
つまり、世界中の食の魅力を発信しているフーディーなのだ。