世論の風向きが変わったきっかけ

 ところが、ここから双方の支持率は大きく変わった。きっかけは、12月27日の韓悳洙(ハン・ドクス)前大統領権限代行に対する弾劾だ。

尹錫悦大統領の弾劾案が可決し、職務停止に追い込まれてから大統領代行を務めた韓悳洙氏。その後、野党によりやはり弾劾案が可決されてしまった(写真:AP/アフロ)
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 国会で議決された憲法裁判官3人を任命しなかったという理由で、共に民主党が主導して韓悳洙大統領権限代行弾劾訴追案を国会で通過させたため、韓国の行政府は崔相穆(チェ・サンモク)財経部長官の代行体制に突入した。その際、共に民主党出身の禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が「大統領権限代行の弾劾」に必要な議決定足数である「在籍議員の3分の2」ではなく、「総理の弾劾」に必要な「在籍議員の過半数」で押し切ったことに対して、法曹界とメディアから非難が巻き起こった。

 それでも、すでに権力を掌握したと思い込んでいた共に民主党は歯牙にもかけなかった。一方、与党は共に民主党を「まるで占領軍にでもなったようだ」と批判、危機感を覚えた保守勢力が徐々に結集し始めた。

 そして年明け早々、共に民主党に衝撃が走った。1月第1週に発表された「KOPRA」の世論調査によれば、共に民主党の支持率が39%、国民の力が36%で、両党の支持率の差が誤差の範囲内に縮まっていた。そればかりか、尹錫悦大統領に対する支持率が40%へと急騰したのだ。

 思いもしなかった調査結果に民主党は「偏向した質問項目で世論を歪曲した」と激怒し、該当世論調査機関を告訴すると騒ぎ立てた。