実は連続性があるバイデン政権とトランプ政権の外交政策
フォンテーヌ氏は、バイデン政権とトランプ政権の外交政策は一見すると非常に大きく異なるようにみえるが両政権には実は連続性があると唱える。
バイデン政権はウクライナや台湾への軍事的支援に積極的だった。同盟国重視の姿勢も明白であったし、気候変動、人権や民主主義といった価値観も重視していた。それに対して、トランプ政権は環境問題には関心を持たず、同盟国を軽視し、同盟国はアメリカに「ただ乗り」していると断ずる。それでもバイデン政権は、その前のトランプ政権から外交政策の多くを引き継いでいた、というのがフォンテーヌ氏の主張だ。
連続性の要因として、フォンテーヌ氏は以下の諸点を挙げる。
・中国を主要な競争相手とみなす姿勢
・同盟国への接し方
・変わらない国際環境
・イランや北朝鮮への対応
フォンテーヌ氏は、バイデン政権は第1次トランプ政権と同様に中国を戦略的な競争相手とみなし、中国への関税を引き上げたし、イランとの核合意に復帰することもなかったと指摘する。さらに、バイデン政権は同盟国の反対を押し切ってアフガニスタンから軍を撤退させ、中国への技術流出を止めるための輸出規制を行ったのである。
フォンテーヌ氏が言うように、外交政策を決定するための国際環境は、いくらトランプ政権が誕生したからといって劇的に変わることはない。戦後一貫して、アメリカはユーラシア大陸で敵対的な勢力が出現するのを封じ込め続けてきた。冷戦期はロシア、最近は中国となっただけである。
中東においてはイスラエルが重要な同志国であり続けてきた。イランやイラク、北朝鮮のような国家が核兵器を持つことを禁止しようとしてきたのも一貫している。