「弾劾のやり過ぎ」に批判

 尹大統領の支持率が上がっている理由として、ハンファ財閥運営のメディア「文化ジャーナル」が興味深い分析を紹介している。それは、30代前半以下の若い世代には特定の支持政党がない場合が多く、李氏への反発が広がりやすいという指摘である。

 そうした若い世代のうち、共に民主党の支持層とされてきたのが20代の女性である。文・前大統領は彼女たちから人気で、文政権の失策など話題に出せない雰囲気だった。だから今でもそうなのだろうと思って「李在明さんが次の大統領になりそうだけど」と切り出してみると、「あの人はブラックみたいだからちょっと」と表情を曇らすケースが予想外に多い。共に民主党が若い世代に支持を根付かせられないのには、こうした実情もあるようだ。

韓国社会では尹氏の拘束をめぐり対立が激化している(写真:Lee Jae Won/アフロ)

 若い世代は就職難により、苦しい生活を送っている。そんななかで非常戒厳により混乱を招いた尹大統領への批判は当然起こりえる。

 だが一方で野党に対しては、続けざまに弾劾訴追案を提出し国政を麻痺させ、庶民の生活を悪化させてきたという批判が噴出している。

 大統領代行となった韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対する弾劾で国政の混乱をさらに拡大させたと見られている。これまでにも閣僚をはじめとする政府高官に対して29件の弾劾訴追案が提出され、13件が成立。しかも、そのほぼすべてにおいて弾劾理由が法的な要件を満たしていないとの指摘もある。

 それでは、支持率が爆上げした尹大統領は何をやってきたのだろうか。