「疑惑のデパート」李代表への嫌悪感広がる
李氏が不人気の理由として現地メディアがこぞって指摘するのが、司法リスクだ。公職選挙法違反、北朝鮮への不法送金、土地開発をめぐる背任など、李氏はまるで「疑惑のデパート」状態である。
いくらむいても疑惑が次々と出てくることから「玉ねぎ男」の異名をとった曺国(チョ・グク)氏も、将来の大統領として望まれている。だが、先月14日に有罪が確定したため議員失職となり、今後10年間は選挙に立候補できない。
チョ・グク氏が有罪となった疑惑は公文書偽造や業務妨害である。それに比べると李氏のほうが量刑は重くなりかねない事案ばかりだ。しかも、これまで側近5人が不審死などにより命を落としており、韓国社会には「李在明大統領」への拒否感が漂っている。
非常戒厳が解除された直後は、尹大統領への批判が韓国全土を覆っていた。そのときに行われたメディアリサーチによる世論調査では、李在明氏は次期大統領として最も高い支持(52.4%)を集めていた。
だが、そうした李支持者のなかには、「他に誰もいないから」という消去法で李氏を選んでいた人も少なくない。私の周りの韓国人に聞いてみても、「支持する」と答えた人のなかで3割程度がこのような“消去法での支持”という印象である。
つまり、李在明氏の支持率は、非常戒厳から弾劾訴追案可決あたりがピークで、それ以降は時間が経てば下がる要素があった。
そうした状況を意識してか、李氏は尹大統領の弾劾審判を早く進めるよう要求してきた。そして実際に李氏の不安は的中し、支持率の下落は早かった。しかも、尹大統領の支持が復活したのは想定外だっただろう。