そもそも「STIコンプリートカー」とは

 サスペンションは、ドイツのZF製電子制御ダンパー(ショックアブソーバー)。ブレーキはイタリアのブレンボ製で、タイヤはフランスのミシュランパイロットスポーツ4Sを採用するなど、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースのスバル参戦マシンの知見をフルに活かした仕様となっている。

 価格は今春発表される。

レカロ製のカーボンバックレストフロントシートなど、S210専用用品を数多く採用したインテリア(写真:筆者撮影)

 こうしたモータースポーツをバックグラウンドとしたSTIモデルは、実にスバルらしいと言える。

 STIコンプリートカーの歴史を辿ると、1998年に限定400台で発売した「インプレッサ 22B-STi バージョン」が起点だ。なお、当時のSTiの「I」は小文字。

 90年代といえば、スバルがWRC(世界ラリー選手権)で常勝だった時期だ。97年にはWRCマニュファクチャラーチャンピオン三連覇という、スバルモータースポーツ史上の絶頂期にあった。

 そんなWRCマシンのエッセンスを取り入れた記念車という位置付けでインプレッサ 22B-STi バージョンが生まれたのだ。

 その後、2000年にはラリーのようなオフロードではなく、オンロードのスポーティ性を突き詰めたSシリーズを導入。Sシリーズは「S201」「S202」「S203」と代を重ねて、今回の「S210」に至る。

 では、なぜ「S210」の発表がこのタイミングになったのか。