「観察は、研究になってはいけない。研究にしてしまったら面白くない」。

 多分、藤森氏が発言し、3人が同調した流れだった。南氏(だったと思う)はこう付け加えた。

「じゃあなぜ『学会』かというと、それもジョークだった」。

 なんてすがすがしい…。日頃、「建築の面白さを一般に伝える」という大義を掲げて活動している筆者だが、彼らに比べるとやっていることが固くないか? 愉快なやり取りを見ながら、「もっと面白くいこう!」という勇気をもらった。

 そんなふうに大先輩方に背中を押されたのだが、筆者はこれまでそれほど路上に関心がなかったので、得意領域の「現代建築」で撮った1枚を披露したい。最近、札幌で撮ったものだ。

作品名「原広司のブラックホール」作品名「原広司のブラックホール」

「異常な重力渦に引き込まれ、1号機、2号機とも制御不能!」「ああああ…」

 そんな声が聞こえてこないだろうか。建築家の原広司氏(2025年1月3日に逝去)が設計の中心になった札幌ドームのコンコース(客席に向かう吹き抜け)で撮ったものだ。普通に見るとこうなっている↓。

 共感してくれた人、「建築観察学会」を一緒に立ち上げませんか。今ならまだ学士会館の入り口で発足を宣言できる!(※休館は2025年1月からだが、解体工事開始は4月からとのこと。新館は建て替えとなり、旧館は曳き家工事で保存する計画)

◎本稿は、建築ネットマガジン「BUNGA NET」に掲載された記事を再編集し、転載したものです。