本気か、お得意の駆け引きか

 トランプ氏がどこまで本気なのか、お得意の駆け引きなのかは分からない。1999年米国から引き渡されたパナマ運河は全長82キロメートル。現在、パナマ政府機関のパナマ運河庁(ACP)の管理下にある。しかしパナマ運河に近い5つの主要港のうち2つを中国企業が運営している。

 2018年、中国国有企業のコンソーシアムはパナマ運河にかかる4本目の橋の建設を14億2000万ドルで受注した。習近平国家主席のインフラ経済圏構想「一帯一路」に沿って、中国企業はパナマの他のインフラプロジェクトに投資している。

2018年12月、中国の習近平主席と彭麗媛夫人はパナマ運河のココリ閘門を訪れた。右はパナマのフアン・カルロス・バレーラ・ロドリゲス大統領とロレーナ・カスティージョ夫人(写真:AP/アフロ)
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 米国はパナマ運河最大の利用国であり、22年度には全通航量の約74%を占めた。米国貿易の大動脈であるパナマ運河で中国(同約21%で2位)が存在感を増していることにトランプ次期政権は神経を尖らせる。パナマ政府に圧力をかけ、通航料を値切りたい本音も透けて見える。

 グリーンランドについて、トランプ氏は19年当時、買いたいと発言して物議を醸した。これを蒸し返した形だ。米国政府は1946年にもハリー・トルーマン大統領時代のジェームズ・バーンズ国務長官が国連でデンマークの外相にグリーンランド購入を持ちかけたことがある。