先延ばしになった生え抜き捕手の底上げ
こうした中で、巨人投手陣の防御率は昨季2.49で12球団トップ。メジャーに挑戦する菅野智之投手が抜けるとはいえ、若手投手陣の台頭も期待される。捕手3人制を敷くチームが多く、必ずしも捕手を固定できないチームが弱いというわけではない。近年の阪神やオリックスは複数の捕手を併用してリーグ優勝も果たしている。
ただ、阿部監督はスポーツ報知の元日付インタビューで「理想は固定。2人制にするかもしれない。小林、大城卓、岸田は競争だし、山瀬もいる」などと構想を明かす。甲斐選手の固定は守備面の安定化につながるだろうが、他の捕手陣は厳しい立場に置かれる。
野球解説者の上原浩治氏は昨年末に放送されたTBS系『サンデーモーニング』出演した際、「キャッチャーに甲斐選手が入ったのであふれると言うかね、他の選手がどういう場所に行くのか。大城選手がもしかしたらファーストに回るかもしれないですし、岸田選手が上がってきて、山瀬選手もいるので、その辺をどうするのかなと。甲斐選手を使わざるを得ないと思うのでね、補強したわけですから」と25年シーズンの捕手事情に言及した。
岸田選手は盗塁阻止率0.475と12球団トップと成長を見せたが、まだ実績も不足しており、まずは2番手争いからのリスタートになりそうだ。
甲斐選手は「やっぱり勝たないといけないチーム。勝ち続けないといけないチームだと思っています。責任はもちろん、プレッシャーもありますが、若い選手、若い投手陣も多くなっていると思いますので、今まで自分が経験したことを引き続きやっていければなと思います」と“優勝請負人”の覚悟を語る。
リーグ連覇を盤石にする甲斐選手の加入と、数年先に先延ばしされた生え抜き捕手の底上げ。常勝を義務づけられる球界の盟主を率い、巨人の生え抜き史上最高の捕手でもある阿部慎之助監督は、直近の課題を解消した一方で、捕手陣底上げという難しい舵取りも迫られそうだ。
最後に、甲斐選手以外の大型補強、特に外国人選手について触れておきたい。