なぜ巨人は甲斐を獲得したのか
一方、巨人のフリーエージェント(FA)による補強は20年のオフ以来4年ぶりとなる。阿部監督がグラウンド上に「絶対的な司令塔が欲しい」と甲斐選手の獲得を熱望して実現させた格好だ。
甲斐選手の24年シーズンの成績は、119試合に出場して打率0.265、5本塁打、43打点。守備に就いたイニング数は924回3分の2で、12球団の捕手で最多だった。阿部監督は表向きには捕手陣への大きな刺激と競争激化への期待を口にするが、強肩やリード面など守備の評価が高く、チームの牽引役としても甲斐選手をレギュラーで起用することは間違いないだろう。
気になるのは32歳という年齢面か。打撃面では決してプラス要因というわけではない。総合力で、ここから3年はほぼレギュラーで固定できても、その後は捕手というタフなポジションだけに不透明な面も否定できない。
巨人としては甲斐選手を他の捕手と併用するにしても、将来的には再び他球団からの補強に乗り出すか、新人を獲得するか、既存の捕手陣を底上げすることが欠かせない。
巨人の捕手は阿部監督が捕手だった時代以降、レギュラーとして完全に定着できた選手はいない。昨季は28歳の岸田行倫、ベテランの小林誠司、打撃が魅力で他のポジションでの起用もある大城卓三の3選手を併用した。ほかに高卒6年目を迎える23歳の山瀬慎之助選手もいる。
24年シーズンの先発マスクを被った試合数は、岸田選手が最多の72で、小林選手が36、大城選手が34、山瀬選手が1だった。それぞれがリード、打撃などに課題があり、レギュラーとして固定することはなかった。