首を洗って待つ銀行員たち
顧客の被害額の査定と同時進行で今行われているのは、支店長、副支店長、部下、本部検査部門の責任者、検査担当者などの責任の査定だ。
銀行で不祥事や融資の焦げ付きが発生すると、誰がどの時点でどんな落ち度があったかの詳細な一覧表がつくられ、それを見て、人事部が、懲戒解雇、諭旨退職、降格、譴責、戒告、ボーナス減額等の処分を決める。筆者もロンドン支店勤務時代、イラクのフセイン大統領がクウェートに侵攻したおかげで、クウェートの企業や銀行向けの融資が焦げ付き、一覧表に名前を連ねたことがある(融資はクウェート解放後に返済された)。
今回は相当な処分者が出るはずで、支店長クラスは間違いなく管理責任を問われ、降格くらいにはなるだろう。
邦銀は典型的な減点人事で、一度バッテンがつくと、それを回復するのはほぼ無理である。不祥事が起きると、何らかの関係がある行員たちは、「自分は責任を問われるのだろうか? 問われるとしたらどんな処分を科されるのだろうか?」と皆、戦々恐々となる。
ただ懲戒解雇にさえならなければ、以後日陰の道を歩むとしても、支店長経験者なら月に20万~30万円の企業年金をもらえる銀行なので(厚生年金は別途月に19万円程度もらえる)、中小企業などに比べればはるかに恵まれている。