希望エリアで物件を見つけやすい“築深マンション”
だが、中古には価格以外のメリットもあり、それが中古マンション価格を押し上げる要因にもなっている。そこで、実際に中古マンションを買った人たちが、なぜ新築ではなく中古を選んだのかをアンケートした結果が【グラフ2】だ。
中古住宅を選んだ理由としては、2位に「手頃な価格だったから」(60.1%)が入っていて、やはり価格の安さが大きなポイントになっているのは間違いないが、実はそれ以上に「希望エリアの物件だったから」(71.4%)がトップに挙がっており、10ポイント以上の差がついている。
特に、近年は新築マンションが激減し、希望するエリアに新築マンションが建設されにくくなっている。年に1棟出てくればいい方で、何年も出てこない人気エリアも少なくない。それに対して、中古マンションならいつでもどこでも物件を探すことができ、複数の物件の中から選択できるケースもある。
もちろん、中古マンションの価格のメリットがなくなったわけではない。築浅は新築より高い状況にあるものの、ある程度の経過年数がたった物件ならば、価格の安さのメリットを享受できるようになる。
前出の【グラフ1】にあるように、築10年までは新築マンション並みかそれ以上の坪単価になっているが、築10年を超えて築20年以内になると、400万円台から300万円台に下がり、築20年を超えて築30年以内では200万円台に、そして築30年超では100万円台にまで低下する。
築20年超30年以内なら新築や築浅の半額、築30年超なら3分の1ほどで手に入れられる計算だ。
しかも、注目しておきたいのは、【グラフ1】の折れ線グラフのカーブを見ても分かるように、築浅は右肩上がりに高騰しているものの、築年数の長いマンションは、このところ横ばいから右肩下がりで買いやすくなっている。
つまり、ある程度の経過年数がたった中古マンションなら、希望エリアで物件を見つけやすく、かつ割安感を享受できるわけだ。
さらに、中古マンションのメリットとしては、早く入居できるという点も見逃せない。大規模な新築マンションだと、売り出しから竣工・引き渡しまで1、2年以上かかる事例もあるが、中古だと契約すれば3カ月以内に入居できるのが原則だ。