9人で3億4000億円の消費税を取り逃がす
訪日客は出国の際、免税購入品の検査を受け、物品が確認できない場合は消費税の納付を求められます。ところが、会計検査院の検査によると、2022〜2023年度に羽田・成田両空港では、1億円以上も日本国内で免税品を購入しながら物品の持ち出しが確認できず、かつ、納付が行われていなかった人が9人もいたことが発覚しました。
9人の購入総額は約34億円。これらについては、税関職員が課税手続きをしなかったため、結局、3億4000万円もの消費税を取り逃した結果になったのです。
この9人については、免税購入した物品を日本国内で転売業者らに販売し、手数料収入を得た疑いが持たれています。これに限らず、両空港では、出国の際に免税品を所持していなかったことから、訪日客に消費税を課したケースは2022年度だけで367件に達しました。
海外では不正転売を防ぐため、市中での免税販売は行わず、出国時に商品の持ち出しを確認してから税額を払い戻す「リファンド方式」を採用している国が多数ありますが、日本ではこの方式を採用していません。
その隙間を狙われたとも言えそうです。日本総研の試算によると、こうした消費税の不正は2022年度で1000件近くに上り、その追徴課税は総額150億円規模に達しました。