最悪のリスクは「イスラム国」の再生

青山:シャーム解放機構が主導する反体制派そのものが、アルカイダやイスラム過激派の武装集団の「寄せ集め」で構成されています。そのほかにも、トルコの支援を受けるシリア国民軍、在地の武装集団などもいて、反対派の求心力が試されます。

米国はイスラム国(IS)に対して対テロ作戦を展開してきた。2022年、バイデン政権はIS最高指導者が自爆したと公表した。写真は作戦中に墜落したヘリコプターの残骸(写真:Abaca/アフロ)

 最悪のリスクは過激派組織イスラム国(IS)がシリアで台頭することでしょう。シャーム解放機構が反体制派をまとめきれないと、指導力を持つイスラム国を旗印に、過激な在地の武装集団が集結する可能性があるのです。

 現在はイスラム国に共鳴していた武装集団も、おそらくシャーム解放機構になびいている状態ですので、同機構がどこまで指導力を維持できるかに未来は左右されます。

 トップであるジャウラニ指導者は別として、シャーム解放機構の主要メンバーはシリア政権の閣僚と違い、テクノクラートではなく「軍人あがり」「活動家あがり」という表現が適切で、洗練されているとは言えません。今後、西側、特にアメリカに認められるためにも、指導力を見せつける必要があるでしょう。

──トランプ政権はシリアに対してどのような姿勢を示すと考えられますか。