最も好きな戦闘シーンは「土星会戦」

──様々なSFアニメの「戦闘シーン」について解説されています。どの戦闘シーンが印象的でしたか?

高橋:子どもの時に鮮烈な印象を受け、今見ても面白いのは『宇宙戦艦ヤマト2』の土星会戦ですね。

 白色彗星帝国が攻めてくるのに地球の兵力が少ない。参謀本部は兵力をバラバラに配置しようとするけれど、司令官の土方竜が反対して一カ所に集めて戦うという決断をする。そして、敵艦隊の後方を戦闘機で攻撃して短期決戦に持ち込み、土星の輪という特異な地形を使って勝利する。

 土方と参謀本部の関係や、土星での決戦に持ち込むための段取りや描写、最後に自然地形を使って戦って勝つという展開。こうした組み立てがとても精緻で、何度見ても面白いですね。

 最初に見たのは小学校4年生くらいだったと思いますが、「あの土星会戦は面白い」という記憶はその後もずっと残り、レンタルビデオで『宇宙戦艦ヤマト2』が出た時は真っ先にそこを見ました。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』で、土星会戦もリメイクされましたが、残念ながらオリジナルには及びませんでした。

──本書では様々なタイプの、モビルスーツ、非人型機動兵器、空母、戦艦、大型艦などが紹介されています。高橋さんが特にお好きなものはどれですか?

高橋:『機動戦士Zガンダム』に登場するキュベレイですね。デザインが美しい。曲線が多くて、不気味でかっこいい。そして、あのあたりから普通に使われるようになる、ニュータイプ専用兵器「ファンネル」もキュベレイは使う。

 キュベレイをデザインしたのは、メカニカル・デザイナーで、漫画家の永野護さんです。「永野メカ」とも言われる独特のデザインの1つの姿ですね。人型機動兵器の中では一番好きなデザインです。

高橋杉雄
防衛研究所防衛 政策研究室長
早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。専門は国際安全保障、現代軍事戦略論、核抑止論、日米関係論。日本の防衛政策を中心に研究・発信する、我が国きっての第一人者。プライベートでは熱心なサッカーファンとしても知られ、日本代表と川崎フロンターレの20数年来のサポーターでもある。また、大のスイーツ好きという顔も持ち、自家製ジャムを作ったり、スイーツ写真をSNSに投稿したりといった一面も。

長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。