孤独を感じている人がChatGPTに話しかけると……?!
その一つが、エイドリアン・デ・ウィンターというマイクロソフトの研究者から発表された論文「もしエリナー・リグビーがChatGPTと出会っていたら」である。
エリナー・リグビー(Eleanor Rigby)とは、ビートルズの楽曲のタイトルに登場する人名だ。同曲は1966年に発表されたもので、同じくビートルズの楽曲「イエロー・サブマリン」と両A面シングルとして発売されている。
「誰も気に留めることのない孤独な人々」について歌った曲であり、エリナー・リグビーは、そうした人物の象徴として孤独に死んでゆく様が描かれている。
そんな孤独な人物がChatGPTに出会っていたらどうなっていたか──。改めてビートルズに曲を書いてもらうわけにもいかないので、デ・ウィンターはこの研究の中で、「WildChatデータセット」を用いたチャット内容分析を行っている。
WildChatデータセットとは、ChatGPT(GPT-3.5-TurboおよびGPT-4)との対話データを収集した大規模なデータのこと。あるプラットフォームを通じて、2023年4月9日から2024年5月1日までの期間で集められたものであり、約100万件の対話データからなる。
彼はこの中から約8万件のデータを抽出し、ユーザーとChatGPTの会話にどのような傾向が見られたかを分析したのである。
デ・ウィンターはChatGPTが孤独を癒す可能性を、頭から否定しているわけではない。それが現代人の孤独感の軽減に役立つ可能性があると認めているものの、現行の関連テクノロジーはそのために設計されているわけではなく、ユーザーの感情に適切に対応できないリスクがあるのではないかというのが彼の問題意識だ。
それでは分析結果はどうだったのか。