ハイパーテキストが変えたコンピューター

 例えば、この文章は誰が書いたとか、注釈をつけることはありますが、普通は言葉の由来までは分かりません。

 そんな彼がコンピューターに出会って、「これだ!」と思ったそうです。本もたくさん読みすぎて、どの話がどこに出ていたのか分からなくなったこともあったとか。

 そこで、「コンピューターでやれば、整理できるんじゃないか?」と1960年代に考えたそうです。

 文章の中の言葉が相互にリンクしている状態を、コンピューターなら簡単に実現できるかもしれない。

 そう思って、ハイパーテキストの概念を考え出したと言っています。

 1960年代から70年代にかけて、米国のブラウン大学でコンピューターを使った文章のリンクシステムを研究していました。

 当時のコンピューターは、ただの計算機です。

 人間の知能を増幅するというより、大きな電卓のようなものでした。

 ところが、ネルソンさんは、「コンピューターで言葉を処理したり、リンクしたりしたら、すごく便利なんじゃないか?」と、いち早く気づいたのです。

 彼が本当に先駆者だったということは、彼の著書や慶應大学で博士号を取った時の論文を見れば分かります。