AI向け半導体、過去最高更新 全体の87.8%

 エヌビディアの24年8~10月期における売上高を事業部門別に見ると、AI向け半導体を含むデータセンター部門は、前年同期の約2.1倍の308億ドル(約4兆7800億円)で、過去最高を更新した。同部門の売上高全体に占める比率は87.8%に達した。この比率は過去6四半期、59.6%、76.4%、80.1%、83.3%、86.6%、87.5%と推移。上昇の一途をたどっている。

 一方、かつての主力事業だったゲーム部門の売上高は前年同期比15%増の約33億ドル(約5100億円)だった。売上高全体に占める比率は9.4%に低下した。

 自動運転技術など車載向け半導体やロボティクス部門は、72%増の4億4900万ドル(約696億円)だった。

 1993年に創業したエヌビディアは、GPU(画像処理半導体)企業としてスタートし、その後ビデオゲーム用半導体の主要企業に成長した。その一方で、ファンCEOは、過去15年間、GPUの新しい用途を追求してきた。その後同社製GPUは、暗号資産のマイニングやAI分野で採用されるようになった。昨今の生成AIブームにより、データセンター部門は売上高がゲーム部門を上回り、同社最大の事業へと成長した。

エヌビディアが直面する課題

 同社の躍進には、複雑な問題も伴っていると米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。Blackwellの生産体制については、一部報道で遅延が伝えられていた。前回の決算発表ではエンジニアリング上の問題により、利益率が低下すると示唆していた。

 ただ、今回の決算発表でコレット・クレスCFO(最高財務責任者)は「Blackwellの設計の微調整を完了し、製造歩留まりが向上した」と説明。Blackwellは24年11月~25年1月期に出荷を始める予定で、同四半期に従来予想の数十億ドルを上回る販売が見込めるとしている。Blackwellの需要は25年2月から始まる会計年度の数四半期にわたって供給を上回るとみている。

 エヌビディアは、米国による対中輸出規制の強化といった課題にも直面している。同社はこれまで中国市場向けに性能の低いチップを開発し、中国事業の維持を図ってきた。だが中国半導体メーカーとの競争も激化してきた。クレスCFOは決算説明会で、「中国向け製品の売上高は前四半期から増加したものの、輸出規制が実施される前の水準を大きく下回っている」と説明した。

 一方、トランプ次期米政権に対する見解を問われたファンCEOはアナリストに対し、「今後策定されるいかなる規制にも順守し、顧客をサポートする」と述べた。