台湾電機大手の鴻海(ホンハイ)精密工業は、米エヌビディア(NVIDIA)の次世代半導体を搭載したAI(人工知能)サーバーを製造する。同社がこのほど台北で開いた技術発表会で発表した。世界最大規模の工場をメキシコで建設中だという。
NVIDIAの次世代半導体「GB200」搭載サーバー
鴻海は、電子機器の受託生産サービス(EMS)の世界最大手で、米アップルのスマートフォン「iPhone」の組み立て業務を請け負うほか、サーバーの製造も手がける。最近は電気自動車(EV)の受託生産事業にも進出した。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)や英ロイター通信などによると、工場は、メキシコ中部ハリスコ州グアダラハラで建設している。全長450メートルの広大な工場だという。
この工場では、エヌビディアの次世代半導体「GB200」を搭載したサーバーを生産する計画だ。エヌビディアは2024年3月、次世代GPU(画像処理半導体)シリーズ「Blackwell(ブラックウェル)」を発表した。そのうちの「B200」は、チャットボット(自動対話システム)のようなタスクにおいて、前モデルに比べて30倍の高速性を実現する。このB200とエヌビディアのCPU(中央演算処理装置)「Grace」を1つのパッケージに収めたのがGB200である。
鴻海董事長(会長)兼CEO(最高経営責任者)の劉揚偉(ヤング・リウ)氏は、Blackwellプラットフォームに対する需要は「凄まじい」と述べた。「当社のサプライチェーン(供給網)はAI革命への対応準備が整っており、製造能力にはGB200サーバーのインフラを補完するための高度な液冷・放熱技術もある」と強調した。
依然高い、鴻海の中国依存度
FTによれば、西側諸国の政府や企業は、地政学的緊張の高まりやサプライチェーンの混乱を受け、中国への依存度を低減している。とりわけ、機密性の高い技術製品の製造拠点を自国に近づけようとしているという。