上海新店舗オープン時のクックCEO(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルのスマートフォン「iPhone」のインド生産額が2024年3月末までの1年間で140億米ドル(約2兆1400億円)に達し、1年前から倍増した。米中関係が悪化する中、アップルはサプライチェーン(供給網)の多様化を進めており、生産の中国依存低減が加速している。米ブルームバーグ通信英ロイター通信などが報じた。

世界iPhoneの14%をインドで生産

 関係者の話によると、アップルは現在、世界で出荷されるiPhoneの最大14%をインドで生産している。中国は依然として、最大のiPhone製造拠点である。だが同社はサプライチェーンの中国依存を減らし、生産をインドなどの新興国に移そうとしている。

 24年3月末までにはインドで製造されたiPhoneのうち約67%を、電子機器受託製造サービス(EMS)世界最大の台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)が手がけた。同じくEMS大手の台湾・和碩聯合科技(ペガトロン)は約17%を製造した。残りは、インドの大手財閥タタ・グループが23年に買収した、台湾・緯創資通(ウィストロン)のベンガルール近郊の工場で製造した。

 ブルームバーグ通信によると、これらアップルのサプライヤーは現時点で、ProやPro Maxモデルを除くiPhoneをインドで製造している。機種は旧型のiPhone 12から現行のiPhone 15まで多岐にわたる。インドで生産されるiPhoneのほとんどが輸出向けである。

クックCEO、製販両面でインド重視

 その一方で、インドは中国メーカーの安価なブランドが支配する市場であるため、iPhoneの販売シェアはわずか6%にとどまる。だが、インドは世界第2位の携帯電話市場である。ロイター通信によれば、23年はその生産額が前年比16%増の440億米ドル(約6兆7400億円)に成長した。こうしたなか、アップルは製販両面でインドを重視している。