(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
米プロバスケットボール、NBAのレイカーズに所属する八村塁選手が日本代表の在り方を批判したことを受け、日本バスケットボール協会が見解を示した。八村選手とのコミュニケーション不足を反省する一方、日本男子のトム・ホーバス監督の続投は変えない方針を強調した。
国内のプロバスケットボールBリーグは8季目を終え、空前の急成長を続ける。バスケ界発展のための大事な軸となる日本代表の実力、人気、商業的価値も右肩上がりだ。
かつて協会内の混乱からリーグ分裂の苦杯をなめた日本バスケ界。八村選手が覚悟を持って発した批判が新たな火種とならないためにも、今後の舵取りが重要になってくる。
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八村選手の批判にようやくコメント
「発言は重く受け止めている。ミスコミュニケーション(コミュニケーション不足)があり、彼(八村選手)に負担をかけてしまった」
協会の渡辺信治・事務総長は八村選手の発言から6日後の11月20日、宇都宮市内で取材に応じて反省を口にした。日本を代表するNBA選手による異例の協会批判とあって、この日の取材の模様はNHKも夜の『ニュースウオッチ9』で大きく報じた。
スポーツ報知によれば、協会は先週末に八村選手の代理人とオンラインで面談し、1時間にわたって事情を確認したという。協会が八村選手の不信感を招いた原因と受け止めたのは、パリ五輪直前の7月に行われた韓国との国際強化試合についてだ。
渡辺氏は具体的に、八村選手側から事前に出場しない方針を示されていたにもかかわらず、欠場発表が試合当日になった点を挙げた。実際、協会は今年7月5、7日の韓国戦について、八村選手の欠場を第1戦当日の5日に公式X(旧ツイッター)で次のように発表した。
「八村塁選手は6月26日の帰国後、29日からチームに合流してまだ日も浅く、パリで100%のパフォーマンスを出せるように調整を行っています。JBA(協会)として、八村選手のコンディション調整を優先し東京大会での出場は見送る判断をしました」
当時はNBAプレーヤーの渡邊雄太選手(現千葉J)も、左ふくらはぎの肉離れで欠場することを表明している。八村選手の欠場発表を報じたウェブ記事では、「普通に発表遅くない?」「八村、渡邊目当てでチケット買った人可哀想すぎる…」などと批判や落胆のコメントが紹介されている。