加えて、先進技術研究部門をはじめとするオフィス職の人員を削減した。23年1月には、1万8000人超の大規模リストラを発表し、同年3月には9000人の追加削減を明らかにした。リストラは24年に入っても続いた。
薬局事業と診療サービス「One Medical(ワン・メディカル)」事業で数百人規模のリストラを実施。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は24年1月、アマゾンが動画の配信や制作事業で、数百人規模の人員削減を計画していると報じた。その対象は、有料会員向け動画配信「Prime Video」の開発・運営部門や、映画やドラマを制作するスタジオ部門「Amazon MGM Studios」、傘下のゲーム実況配信サービス「Twitch(ツイッチ)」などだった。
決算資料によると、アマゾンの世界従業員数は21年時点で約161万人だったが、24年3月末には152万人にまで減った。
注力分野はAI、設備投資額が過去最高
一方で、こうした緊縮は注力分野に適用されていない。アマゾンは24年3月、生成AI(人工知能)開発の米新興企業、アンソロピック(Anthropic)に追加出資し、総出資額を上限の40億ドル(約6100億円)に引き上げたと明らかにした。
24年4月の決算説明会でブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)は、「生成AIの成長と強い需要により、24年の設備投資は前年比で大幅に増加する」と述べた。
その後の24年7~9月期の設備投資額は、226億2000万ドル(約3兆4700億円)となり、前年同期から81%増加した。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、この金額は四半期として過去最高である。
アマゾンは生成AIサービスを推進するため、24年に約750億ドル(約11兆5000億円)を投じる。25年はさらに多額の設備投資を行う計画だ。ジャシー氏は決算説明会で、「需要が急速に増加すればするほど、データセンターやネットワーク機器、ハードウエアへの投資を急がなければならない。(当社は)それら全てにおいて先行投資している」と強調した。