スパロー(写真:Amazon/AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは、AI(人工知能)とロボティクスを融合する技術を手がけるスタートアップ企業への投資を拡大する計画だ。

「より効率的に、従業員にとってより安全に」

 同社は2022年に10億ドル(約1500億円)規模の「Industrial Innovation Fund(産業革新ファンド)」を設立した。こうしたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)は一般に、有望なベンチャー企業への投資を通じて、自社の事業領域を拡大したり、新規事業を立ち上げたりすることを目的とする。だが、アマゾンの場合、物流効率化による配送スピードの向上や従業員の安全性といったことを狙っているようだ。

 コーポレートベンチャーキャピタルの責任者であるフランジスカ・ボーサート氏は、英フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じて、「(ファンドは)『より効率的に、従業員にとってより安全に、配送スピードを向上させる』という目標をサポートできるスタートアップへの投資を目指している」と述べた。

 同紙によると、産業革新ファンドではこれまでセンサー技術を用いて人間と共に作業するロボットアームを手がける米マンティス・ロボティクス(Mantis Robotics)など、計12件の投資を行っている。

 ボーサート氏はアマゾンが24年に投資対象を広げる予定だと明らかにした。最終物流拠点から顧客宅へ荷物を配達する「ラストマイル配送」に関わる企業のほか、新興市場に拠点を置く企業、より成熟段階にある企業へと投資対象を拡大する。