主要国が経済安全保障で進める「保護」「振興」「連携」

 トランプ2.0の政策は、ジョー・バイデン政権のものから大きく変化するだろう。端的に言えば、国内政策では反リベラルへの揺り戻し、外交政策では「米国第一」が一層強化された単独主義への傾斜が見込まれる。

 こうした変化は、バイデン政権下で進められてきた経済安全保障の取り組みにも当然に影響を及ぼす。それは、日本の経済安全保障戦略や日本企業の事業活動にも見直しを迫ることになる。

 米国を含む主要国は現在、「保護」「振興」「連携」によって経済安全保障の取り組みを進めている。

「保護」とは、重要物資・技術、重要情報や個人情報などが中国などの懸念国の手に渡ることを防ぐもので、輸出管理や投資審査、TID(テクノロジー・インフラストラクチャー・データ)への懸念国やその企業のアクセスを制限するなどの措置で実施されている。

「振興」とは、重要物資などの国内製造基盤を整備し、サプライチェーンを強靱化することで国内産業の競争力強化を図るもので、補助金や税制上の優遇措置といった政府主導の産業政策によって進められている。

「連携」とは、自国のみでは実現が難しい「保護」や「振興」を、価値を共有し、信頼できる同志国と連携して取り組むもので、「フレンド・ショアリング」と呼ばれている。

 トランプ2.0では、この3つの取り組みがそれぞれ変化するものとみられる。