写真提供:共同通信社、Japan Innovation Review編集部

 今やわれわれの生活に欠かせない存在と言える「コンビニ」。欧米の小売業界とは異なり、ライフスタイルや社会構造の変化を背景に急成長を遂げてきた日本のコンビニ業界は、他国に類を見ない特徴的なイノベーターと言っても過言ではない。本連載では『コンビニがわかれば現代社会のビジネスが見えてくる―日本的小売業のイノベーター』(塩見英治著/創成社新書)から、内容の一部を抜粋・再編集。業界特有の経営戦略をはじめ、近年進む食品ロス対策の取り組みなど、コンビニ市場を取り巻く最新動向を探る。

 第5回では、1980年代から現在に至るまで繰り返されてきたコンビニの統合・合併の歴史をひもといていく。全国各地に数多く存在したバラエティ豊かなローカルコンビニが消え、大手に集約されていった市場の変遷をたどる。

<連載ラインアップ>
第1回 人口減少、経済停滞が続く日本で、なぜコンビニ業界は健闘し続けられるのか
第2回 セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート…各社の戦略に見る特徴と課題とは?
第3回 セブン-イレブンの店舗では、なぜ必要なタイミングで必要な量の商品が適切に並ぶのか?
第4回 コスト削減・低価格が目的ではない、セブン-イレブンが掲げる独自のPB戦略とは?
■第5回 ローソン、ファミリーマートがセブン-イレブンを追撃、大手3強時代はいかにして訪れたか?(本稿)
■第6回 大手コンビニもかなわない、北海道で絶大な支持を誇る「セイコーマート」の人気の秘密とは?(11月26日公開)
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コンビニの合併・統合の特徴

 日本の企業間の合併は、1987年頃から増加しており、その多くが効率化の向上を目的としている。一方で、航空事業などに見られるように、提携・アライアンスも活発化している。

 前者は、資本の取得を伴い、直接的統合であるのに対し、後者の多くが、資本の取得を伴わない相互に独立性を維持したままの競争力の強化策、中間的組織の側面を有している。コンビニの合併は、2000年頃から展開するが、提携の面はあまり見られず、大手コンビニが中小コンビニを吸収し、競争力を強化する性格が強い。

 また、商社が主導することも多い。このため、ローカルなコンビニが消滅し、大手4社のコンビニが市場に君臨するようになっている。以下、主な合併の経過、過去に市場に存在したコンビニを見てみよう。

コンビニの統合の経過

 1980年代後半以降1989年末までの統合・合併は、サンチェーンとローソン間、サンエブリーとデイリーヤマザキ間、ファミリアとミニストップ間の動きで示される。

 ミニストップの1号店は、1980年開店で、ファストフードとコンビニが合体した「コンボストア」の業務形式であった。次いで、2000年代に入って、動きが活発になる。2005年までの前半はチックタックとポプラ間、チコマートの動き、エブリワンとファミリーマート間、ココストアとファミリーマート間で示される。

 後半の2006年以降は、ホットスパーとココストア間、新選組とローソン間、タイムリーとデイリーヤマザキ間、ショップ99とローソン間、am/pmとファミリーマート間で示される。2010年代になると、セブン・イレブンに対抗するため、ファミリーマート、ローソンの取り組みがさらに活発化する。

 エブリワンとファミリーマート間、ココストアとファミリーマート間、サークルKサンクスとファミリーマート間、スリーエフとローソン間、セーブオンとローソン間の動きが見られる。以下、その経過と関係する企業の特徴を見てみよう。