生き恥を晒してでも政策の実現を

 第1次安倍内閣の時には「場外暗闘」があった。絶対通るはずがないと言われた「天下り斡旋全面禁止」を盛り込んだ国家公務員法改正案を担当した私は、頭のテッペンからつま先まで調べられた感がある。

 地元のある役所では末端職員にまで私の悪口を書いた週刊誌のコピーが配られた、と地元の記者から伝え聞いた。

 安倍総理が何が何でも同法案を通すと決断した後は、当時最も歪んだ公務員制度の見本とされた社会保険庁の「消えた年金記録」などが次々とリークされた。

 私は大臣就任時に事務の官房副長官から「天下り規制なんかやろうとしたら、クーデターが起きますからね」と耳打ちされたことを思い出した。実際に起きたのである。

 玉木さんが袋叩きにあって辞任するのを見たい人もいるだろう。しかし、基礎控除の75万円の引き上げは是非とも実現して欲しい。所得の高い人ほど減税額が高くなるとの理屈に対しては、所得が高くなるほど減税率は小さくなると言いたい。

 社会保障の壁を持ち出すのは論点のすり替え。単純に30年も据え置きにしたステルス増税を是正すると考えれば良いのだ。

 地方税も含めて7.6兆円の減収だと言うに至っては屁理屈そのもの。村上誠一郎総務大臣が全国知事会長の村井宮城県知事に圧力をかけ、基礎控除引き上げ反対を言わせているのは言語道断としか言いようがない。

 年収178万円まで所得税がかからなければ、働き控えがなくなり経済活動は活発になる。ここのところマイナスが続いた可処分所得はプラスに転じ、家計消費が増えるから税収はむしろ増える。

 GDP速報値(7-9月期)も年率換算2.1%増となってきたので、ここで手取りを増やす政策を採れば名目4~5%成長が恒常的に実現できるようになるだろう。

 時事通信の世論調査では下げ止まったかに見えた内閣不支持率がまた上昇し、8.2ポイント増の38.3%となった。石破さんの不人気辞任を先送りするには、財務省を抑え込んで国民民主党案を丸呑みするのが一番手っ取り早いと思う。

 不倫と政策はデカップリング(切り離し)すべきだ。玉木さんには生き恥を晒してでも政策実現の「純化路線」を邁進して欲しい。