一方で、夫の死を目の当たりにした時にも「感情が動くことはなかった」と話した早貴被告の口からは最後まで「(亡くなって)悲しかった」とか「ご冥福をお祈りしたい」という言葉は出て来なかった。
この日も傍聴に駆けつけた、野崎氏が経営していた酒類販売業「アプリコ」の元従業員で会社の監査役でもあった番頭“マコやん”は次のように語る。
「あのコの普段の人間性がそのまま裁判で明らかになったという感じで特に驚きはありません。社長の死を悼む言葉もないばかりか、社長の怪死によって自分は殺人犯扱いされて迷惑したという言葉を聞いて、本当にあのコらしいなと思いました。“おカネは貰うけれど、それで何が悪い?”という考え方は社長と結婚した当初から、ある意味一貫していました。逮捕されてから3年間も拘置所に置かれていたけれど、そこは何も変わっていなかったんですね」
覚醒剤の購入は認めるも自殺や事故の可能性を主張
この裁判で、もっとも重要な要素の1つが、野崎氏の死因となった覚醒剤についてだ。11月8日から始まった被告人質問で、須藤被告は入手にいたる流れについて、性的機能が衰えた野崎さんから頼まれ、売人から覚醒剤を購入したと説明した。
だが早貴被告によれば、この覚醒剤はニセモノだったと後日、野崎氏から伝えられたという。そのため野崎氏が亡くなる原因となった覚醒剤は、別のルートで野崎氏が入手したものであろうとしている。
そして自身に向けられる野崎氏殺害の疑惑について、「(野崎氏が)『死にたい、死にたい』と言ってた」「(野崎氏が)量を間違えちゃったということもある」と答え、野崎氏が覚醒剤を使っての自殺を図った可能性や、事故死の可能性を主張した。
一方で、検察側証人の多くが「自殺はあり得ない」「覚醒剤使用者を嫌っていた」と声を揃えて証言しているのはこれまでの記事でもお伝えしてきたとおりだ。