一連のやり取りでポイントになったと思ったのは、事件発生当時の警察による事情聴取の際に、早貴被告が『覚醒剤を買ってきて欲しい』と社長から依頼されていたとは話していなかったことです。この点は裁判官や裁判員の早貴被告に対する心象にマイナスになったのではないかと思います。長年貸金業を営み裏世界にも人脈があったと思われる野崎氏が、和歌山の田辺に一切人脈がない早貴被告に『覚醒剤を買ってきて欲しい』と依頼したというのはにわかには信じられません」(司法担当記者)
野崎氏への情を感じさせる言葉はついに口にせず
55歳も年の離れた資産家の高齢男性に、出会ったばかりで結婚を申し込まれ、それを受け入れたということからして、「遺産目当て」の結婚というのは当初からうすうす世の中も感じていたことだが、公判の中で早貴被告は、それを公然と口にするどころか、野崎氏に対して一切の愛情すらなかったかのような証言を繰り返した。
それは以下のやり取りにも現れている。
検察「覚醒剤を買うのを頼まれて、なぜ断らなかったんですか?」
早貴被告「私が使うわけじゃ無いし、おカネもらえればいいかと思って」
検察は、覚醒剤を注文した日に「覚醒剤 死亡」などと検索した、須藤被告のスマートフォンの履歴についても追及した。
検察「殺人事件などについて調べたのはいつ?」
早貴被告「高校生ぐらいからです」
被告は、不気味で不可思議な事件が好きと語り、一連の「完全犯罪」や「老人・死亡」などの検索履歴の理由もホラーが好きな自分の嗜好からだと力説している。