年間販売台数はわずか70台

 このようにハードウェアとしては完成度の高い電動車であるCR-V e:FCEVであるが、グローバルの年間販売台数は年間550台で、そのうち日本向けは70台にとどまる。

 ホンダによれば、今回試乗した11月上旬現在、国内での受注数は約60台。その半分が新車販売店向けの試乗車で、残り約30台の内訳は法人と個人が半分ずつという。

 扱う販売店については、その地域周辺に水素ステーションがあることが前提として、基本的に販売店側から販売の希望を出してもらう形となっている。

川崎市内の水素ステーションで水素充填する様子(写真:筆者撮影)

 今回の試乗でも、神奈川県川崎市内の水素ステーションに立ち寄ったが、外観はガソリンスタンドに近いものの、水素充填については高圧ガス保安法による様々な制約がある。

 同法については、トヨタ「MIRAI」の量産が始まった2014年に改定されたエネルギー基本計画において段階的な規制緩和に踏み込んだ。

 その結果、水素ステーション設置に関するコストも大幅に削減され、国が目指す普及数に向けて前進はしてきたものの、収益性を総合的に考えると水素ステーションに投資する事業者はいまだに限定的な状況だ。

 燃料電池車と水素ステーションの関係については、当分の間、水素ステーションの普及と燃料電池車の普及における、いわゆる「鶏が先か、卵が先か」の議論が続くことになりそうだ。