2019年6月30日、板門店で米国と北朝鮮の首脳会談が行われた(右は韓国の文在寅大統領=当時、写真:ロイター/アフロ)

トランプ再選で朝鮮半島に再び統一機運?

 日本の総選挙はどれほどだったか定かでありませんが、先週結果の出た米国大統領選、ドナルド・トランプ氏再選の背後では、凄まじい「AIウォーズ」が繰り広げられたことは間違いありません。

 2016年のブレグジット(Brexit)、英国のEU離脱と前回トランプ氏が当選した米国大統領選挙では、データ駆動型の投票誘導メディア情宣が繰り広げられました。

 のちに「ケンブリッジ・アナリティカ事件」として知られることとなりました。

 あれから8年、2022年末以来の「生成AIブーム」以降、EUを中心にAI規制の動きが急速に広がったのとは対照的に、米国ではおよそ野放し状態が続きました。

 そして、民主・共和両党とも打てるネット攻勢は手段を選ばず打ち尽くす前提で、少なくない金額が動くのを業界も明確に期待しており、その結果がこういうことになったという、キツネとタヌキの化かし合いの結果が2016年同様の結果を導き出した。

 米国の内政・外交諸政策と、その結果の日本への波及については観測が出始めていますが、トランプの共和党はかなり「反科学的」なことは衆目の一致するところでしょう。

 特に、地球気候変動については「愚策に次ぐ愚策で」2017~20年にかけては相当の環境負荷がありました。

 この惑星に一定のダメージを与えたことは間違いなく、その二の舞を踏むようであれば、ただ頭痛としか言わざるを得ません。こうした話題については、別稿でも取り上げたいと思います。

 本稿はたまたま韓国のソウルで書いていることもあり、朝鮮半島問題に焦点を絞ってみましょう。

 元来は完全な外交音痴、古希までビジネス一本槍の右派経営者が率いるトランプ政権の「再来」ですが、対中東政策やウクライナ戦争に関しては、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話連絡したとかしないとかなど、様々な報道も出始めているようです。

 本稿では、前回のトランプ政権が、いかにも外交素人らしく、おかしな勝ち点狙いで板門店を歩いてみたり、パフォーマンスばかり繰り広げた北朝鮮融和政策もどき、その第2波(?)を懸念する韓国青年層の声を紹介してみたいと思います。

 端的に言うと、今の韓国では若い世代を中心に「南北統一」を全く希望していません。

 トランプ氏がわけも分からず「南北統一ムード」を醸し出すことで、バラク・オバマ元大統領が受賞したノーベル平和賞を、「ボクちゃんも欲しいもんね」的な挙動に出られたら、世界にとって極めて迷惑至極。

「どうか間違ってもそういうことはしてくれるな」と韓国青年層が強く願っている、その背景を検討してみましょう。