半世紀では済まない負のレガシー

 前回稿「本来なら日本の甘利俊一・福島邦彦両氏が受賞すべき今年のノーベル物理学賞」で、今年のノーベル物理学賞に異議を唱えたところ、敬愛するT教授に「怪気炎」と評していただくなど、あちこちでリアクションがありました。

 10月はあのあと音楽の本業で立錐の余地ないスケジュール、ベートーベン「田園」を中心とするレコーディングと、ソウルで演奏する空間音楽の準備などで全く出稿不可能。

 その間に総選挙、米国大統領選、あるいは末期症状というより危篤の様相を呈する兵庫県知事選関連のぐちゃぐちゃな情報氾濫など、目を覆うしかない状況を呈するようになっています。

 そうした中、ソウルでの演奏/ワークショップの渦中に「トランプ再選」の報道、期せずして韓国の若い世代と「米国大統領選以降」の国際情勢が食事時の話題に上ることとなりました。

 日韓両国間の思惑とは別に、韓国若年層の日本文化や日本語への関心は高く、ゲームやアニメ、マンガが国境を越えて青年の原体験となっているのも今回強く感じられました。

ソウル中心の繁華街、明洞で見かけた日本語看板の例

 いま韓国は、世界最速で少子高齢化が進んでおり、若い世代が結婚したり、子供を作ったりしにくい社会になっています。

 理由は明確で、生活設計のめどが立たないから。

 青年層の自殺率も極めて高く、その影響があるのかないのか、ソウルの地下鉄は厳重にホームドアが敷設され「早まった行動」が取れないような作りになっています。

「失われた30年」の日本では社会全般で青年層の希望が失われて久しいですが、そんな日本と比較にならないほど、超学歴社会、かつ青年層が就職難に直面しているのが韓国です。

 若者たちは、「今の韓国に『難民』を受け入れる余裕は全くない」と口を揃えました。

 韓国社会の「脱北者」を見る目も、冷たいものに変化しているという。