メラニア夫人は中絶容認、トランプ氏の動向は不透明に
テキサス州最高裁は今年5月、結局女性たちの異議申し立てを棄却した。この結果を歓迎したテキサス州のパクストン司法長官は強固な中絶反対派だ。また、パクストン氏は過去に収賄などの疑いにより、弾劾騒動を起こされてもいる。同氏は2020年の大統領選で、トランプ氏が敗北した結果を覆すよう連邦最高裁に求める訴訟まで起こしたトランプ氏の「オトモダチ」でもある*6。
*6:Ken Paxton emerges victorious from yet another career scandal(THE TEXAS TRIBUNE)
ガーディアンによれば、以前は保守派であったズロスキーさんの家族は、彼女や他の女性たちの体験を目の当たりにし、支持政党についての信条を変化させたという。
もっとも、トランプ氏自身は中絶問題に関しては意見がコロコロ変わるとも指摘されている。加えて、夫人のメラニアさんは最近、SNSや自身の著書の中で、中絶擁護の立場を示してもいる*7。
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— MELANIA TRUMP (@MELANIATRUMP) October 3, 2024
*7:メラニア・トランプ夫人、中絶の権利擁護 回想録で表明(日本経済新聞)
今後、トランプ氏は連邦最高裁判事をさらに保守派で固める可能性などもある。どのような人物を政権に加えるかも焦点となりそうだ。
選挙での敗北を受けてハリス副大統領は6日演説で「戦いは、時に長く続くこともある。だからといって、勝てないということではない」と語った。米国人がその願いなどを追求できる未来のための戦いを決して諦めないとし、女性には政府の指示によらず、自身の体について決める自由があるとした。
ハリス氏は今後、この戦いを投票所や法廷の場で続けると約束した。女性たちの戦いは、ここからが正念場かもしれない。
楠 佳那子(くすのき・かなこ)
フリー・テレビディレクター。東京出身、旧西ベルリン育ち。いまだに東西国境検問所「チェックポイント・チャーリー」での車両検査の記憶が残る。国際基督教大学在学中より米CNN東京支局でのインターンを経て、テレビ制作の現場に携わる。国際映像通信社・英WTN、米ABCニュース東京支局員、英国放送協会・BBC東京支局プロデューサーなどを経て、英シェフィールド大学・大学院新聞ジャーナリズム学科修了後の2006年からテレビ東京・ロンドン支局ディレクター兼レポーターとして、主に「ワールドビジネスサテライト」の企画を欧州地域などで担当。2013年からフリーに。