外交にも口出し始めたイーロン・マスク

 トランプ氏は、最重要アジェンダである「小さな政府」を実現するため、マスク氏に連邦予算の削減、許認可見直しでの絶対権限を与える意向を固めたようだ。

 マスク氏は、「自分は閣僚ポストも給料もいらない。ただ連邦政府の無駄使いをやめさせるためにトランプ氏に力を貸したい」と言っている。

 カネは腐るほどある。地位も名誉もいらないというのが曲者だ。ただほど高いものはない。

 メディアは、そうしたマスク氏に「Director of Government Efficiency=DOGE」(政府活動能率化最高責任者)、「Secretary of Cost-Cutting」(連邦予算削減担当長官)という肩書を献上している。

 トランプ当選でスペースXの株価は急騰。マスク氏は寝ていて1億3000万ドルの利益を上げている。

「無冠の億万長者」マスク氏の役割は、それだけにとどまらない。外交にも口出ししだした。

 トランプ氏は当選直後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話対談したが、その際マスク氏も「同席」していた。

 同氏のスターリンクの衛星インターネット・サービスの売り込みを行ったと見られる。

 同サービスは、ウクライナの政府・軍幹部をロシアによる攻撃から守る上で死活的重要な防御手段だとされている。

 マスク氏はトランプ政権が発足する前から外交交渉にビジネスを持ち込み、対ウクライナ政策に介入しているのだ。

(テスラは中国の上海に生産工場があり、マスク氏は対中関税引き上げには難色を示している。そうしたことから関税引き上げは政権発足後ただちに実施されないのではないのか、といった見方も出ている)

washingtonpost.com/elon-musk-trump-zelensky-call

 閣僚ではないが、閣僚以上の権限を持った恐るべき存在になりそうだ。

forbes.com/heres-what-elon-musk-may-do-in-a-trump-administration