マイナンバー制度の本質とその公益性

 マイナンバー制度の本質とは、マイナンバーという番号を使って確実に本人を特定できることにある。氏名、住所、性別が変わってもマイナンバーは不変だ。だからマイナンバーがわかれば、その人の最新の基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)がすぐに判明する。

 なぜ番号にこだわるかといえば、一般には知られていないが、日本人の氏名はマッチングできないという欠陥を持っているからだ。

 斎藤さんの「斎」や渡邊さんの「邊」は民間では2~3種類で扱っているが、行政で使っている文字はそれぞれ何十種類もある。つまり、民間と行政のデータでは文字コードが異なり、字形も異なる。字形が異なっても同一人物であることを証明するためマイナンバーは必須だ。

 このような理由で本人特定できずに問題となったのが、2007年に起きた年金の納付記録問題だ。氏名や住所が記載されているものの、所有者不明の記録が約5000万件も見つかった。

 年金の記録は40年間管理しなければならない。その間に住所は変わり、氏名も変わることがある。長期間にわたって個人のデータを管理するためにはマイナンバーは不可欠だ。